そらマメさん道路局

道路関係と、一部の公共交通の話・郵便局めぐりなどがメイン。

宇佐道路の入口標識

 1994年12月15日に宇佐別府道路が開通した際、宇佐ICと国道10号現道(中津バイパス)とを連絡する無料自専道「宇佐道路」も同日に運用をスタート。この部分、資料などでは宇佐道路と解説している場合もあるが、実際の所はどうなのかと思い、四日市IC近くの道路標識を確認してみた。

 その結果、混乱が起きぬようにしているのか、案内は宇佐別府道路で共通化されていた。

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四日市ICの入口標識

 開通当時からの標識がそのまま残されており、東九州道に飲み込まれた宇佐~速見の部分に対応すべく、高速道路ナンバリングに対応した標識への交換などは、特に考慮されていない。今後も現存していくものとみられる。

 ちなみに、東九州道に飲み込まれた宇佐~日出に関しては、しっかりと高速道路ナンバリングに対応した入口標識に差し替えられており、案内は「E10 東九州道宇佐別府道路)」といった表現になっている。

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東九州道に飲まれた区間は、ちゃんと新型に変更。

 以上、近況報告でした。

重複国道の番号を合算すると、一番デカくなるのはどの組み合わせか?

 一つの国道に対し、別の国道が重なって設定されている場合、当該区間は「重複国道」と称される。例えば下記の写真。

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国道10号と国道326号(宮崎県延岡市北川町

 写真は宮崎県延岡市(旧・北川町)で撮影したもの。国道10号と重複する形で、豊後大野~延岡を結ぶ国道326号が重複している。国道326号の単独区間がスタートするのは曽立交差点からだが、法律上の起点は延岡市中心街に位置する昭和町交差点となっているため、和田越交差点~曽立交差点までは延々と10+326の標識が重なって設置されている。

 重複区間「おにぎり2連」は、国土交通省や各自治体ごとに対応が分かれており、行政の透明化を図る理由から2連・3連と設置している場合もあれば、逆に重複区間でも番号が若い国道番号のみを掲示したりと、かなりバラツキがある。

 福岡県内では殆ど2連おにぎりを見ることが出来ないが、朝倉市の322号・500号重複区間には、県内では大変レアな2連おにぎりが設置されていた。もっとも、県内では別の国道と重複している場所が少ないため、2連おにぎり設置など無関心に近いのも頷けるだろう。

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国道322号国道500号(福岡県朝倉市持丸)

 重複国道に見られる国道標識に書かれた番号を足し算すると、一番数字がデカくなる路線はどこなのかと思ったが、知ってる範囲で列挙すると、恐らくは岐阜県飛騨市にある、例の「471+472(=943)」になるのでは?(国道標識が設置されている場所に限る)。やはり、400~500号台の国道が重なり、そこに200~300号台の国道まで重なった所に国道標識があると、それは「レジェンド級」である。

酷道大百科 (ブルーガイド・グラフィック)
 

77777km

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記念撮影。ゾロ目&ラッキー7というハッピーな数値。

 2017年に新車を納入し、走り続けた結果。2月22日付で77,777km走行達成となりました。いやぁ、走った走った。次に車検を受けるときは、部品交換がエラいことになりそうやな……

 通勤目的と旅行を1つのクルマで使用するため、1年あたり約2万キロのスペースで総距離カウントが進んで行く。来年の初めあたりで、大台の10万キロを突破するか?

国道388号の酷道 大分と宮崎の県境編

 九州島の「酷道」で取り上げられる路線といえば、残念ながら国道265号・388号のツートップが挙げられる東九州道の開通などで大分県と宮崎県の間を国道388号経由で向かう機会が減った今、国道ずかんの作成を理由に、久しぶりに出かけてみた。

手応えを感じるガチ「酷道

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大分県と宮崎県の県境。何年ぶりだろ、ココに来たのは?

 以前にも何度か来たことがあるため、県境部の酷道区間は十分に慣れている……と思ったが、さすがにブランクが空きすぎて感覚が掴めておらず、離合ポイントを活用して道路状況の撮影をした分まで考えても、峠を越すのに30分以上掛かってしまった。

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ガードレールは殆どない。一歩間違えたら奈落の底。

 県境部を通る国道388号は、人気が皆無。後述の広域農道に加え、並行する東九州道が無料で通行できることも重なり、もはや見捨てられた感しかしない。東九州道開通以前からもココを通るドライバーは限定されているためか、ガードレールなし・洗い越し・落石や木屑の散乱が酷すぎて、道路として機能しているか疑問に感じる。

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梅雨時は国道157号並の「洗い越し」になりそうな場所も。

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落石や木屑の散乱が酷く、舗装も必要最小限。ヨレヨレの状態が麓まで続く。

 大分県側の酷さは目に余るが、宮崎県側もそれなりに酷い。ただ、大分県側とは違い、宮崎県側は丁寧にキロポストを設置していることや、極端な狭隘区間が限定的であることから、大分県側のソレと比べれば峠越えは割と楽。もちろん、道路の手入れは大分県同様に必要最小限で、今回のドライブでも木屑や小石が散乱するなど、メンテナンスはほぼ放置されていた。 

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宮崎県側も県境付近は酷いが、距離が短い分、割とすんなりと「酷道」は無くなる。

広域農道の方が、事実上の国道388号となっている理由を考える。

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蒲北トンネル。国道ではないものの、事実上の国道388号の代替品。

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蒲北トンネルの宮崎県側には開通記念碑が存在する。

 国道388号の県境部が現在でもアノ状態であるのに対し、それよりずっと前に県境部の狭隘区間を迂回するバイパス道路(蒲北トンネル経由)があり、大分県・宮崎県としても半強制的にそちらに誘導するような案内になっている。

 蒲北トンネル自体は500m程度と距離が短いものの、トンネルの前後は1.2車線規模のやや狭隘な道路になっており、リアス式海岸に接する大分県側は、地形的な事情からクネクネカーブが連発している。ただ、国道のソレと比較すれば桁違いに走りやすく、両県共に道路の手入れもしっかりと施され、チョッと狭く感じる程度の国道とほぼ変わりない。

 蒲北トンネルの宮崎県側には開通記念碑が飾られている。

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開通記念碑の中身。快速農道を整備すれば、大分県・宮崎県の税負担を軽減する効果もある。

碑文

 この農道は、宮崎県北浦町(現・延岡市北浦地区)と大分県蒲江町(現・佐伯市蒲江)の深い交流を背景に、更なる農業の振興と地域の活性化を願う地元の熱望により、全国でも数少ない2つの県を結ぶ全長4km余の県営農免農道として、10年の歳月を経て建設されたものである。
 本農道が、県境を越えた人、物、文化の交流を一層促進し、地域発展に大いに貢献することを期待するものである。
 2県にわたる農道建設の実現並びに、着工後の事業水深に多大のご尽力、ご協力をいただいた関係各位に深く敬意を表し、事跡を後世に伝えるためこの碑を建設する。

 

平成7年11月吉日県立 蒲江・北浦農免農道事業促進協議会

 刻まれた文章をよく読むと、「この道路は農免農道として整備された」と記載している。つまり、この道は「農道」である。「農免」は聞き慣れない言葉だが、「農林漁業用揮発油税財源身替農道」と呼ばれ、分かりやすく例えれば、農道版の道路特定財源制度とも言える

 誰もが道路を使う以上、整備の財源となる揮発油税を自動車に課すのが一般的だが、トラクターや漁船のように道路を使わないクルマに関しては免除するのが望ましい。しかし、実際に見分けを付けるのが難しいことから、農業用・漁業用に消費される分に関しては、別枠で税金を徴収する仕組みが考え出された(農業・漁業は免除するから「農免」という)。この財源は国道や県道を管理する各都道府県と異なり、各市町村に税金が行き渡るため、「この農業向け税金を上手く使えば、いつまで経っても改良しない国道388号のバイパス整備に割り当てればいい」という逆手の発想が生まれる。 

 実際、開通記念碑の部分を見てみると、整備期間は1986年~1995年、総事業費は両県足し合わせて約22.8億円要したとなっている。巨額な費用ではあるものの、一般的な国道整備と比較しても比較的割安であるし、どちらも旧・蒲江町と旧・北浦町が自腹で整備したと考えれば、この地域にしてみれば妥当な整備費と見て取れる。

 広域農道が開通すれば、後は海沿いを通る国道388号の改良工事を大分県・宮崎県側が整備すればよく、「県境部は広域農道で迂回」と両県が丁寧に説明すれば、農道が国道の代替と認知されて国道の再整備の必要性も薄れる。で、国道388号の県境部は野晒し状態で完全放置となり、酷道がそのまま残って今に至る。まさに、税金の取り分を上手く活用したアイデアである

道路法に基づく迂回路は、東九州道が解決済みという件

 国道388号の代替としては、前述の広域農道に加えて東九州自動車道があり、大分県側では麓から2合目あたりでチラッと本線の様子を窺える。東九州道も繁忙期以外では閑散気味だが、だからといって無いなら無いでとても困る。東九州道のルート選定がシークレットに包まれているのが疑問という程度で、実際にココを走ったら国道388号のことなど忘れてしまう。感謝感謝(-人-)

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峠から2合目(?)付近で東九州道がチラリ。
無料で通れる限り、この高速道路が国道388号の並行路線と化している。

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単に蒲江~北浦を東九州道で峠を越すなら10~15分程度。極上の極みである。

 蒲江経由の東九州道を整備する理由付けは幾つかあるが、「ゆえに高速道路は必要だ」(四方洋/毎日新聞社の中では、実際に未改良が多かった国道388号の交通改善を理由に、東九州道整備の必要性を強く訴える記述がある(今の反政府主義的な毎日とは考えられない硬派な書籍)。狭隘区間だらけでマトモな走行が出来ず、当時の無駄な公共事業ブームでポピュリズムに浸かって良いものかと一石を投じた書籍を読む限り、少なくとも東九州道の概念が出てきた1966年当初から、日豊海岸沿いの道路環境改善の足掛かりはあったと言える。

 東九州道は「高速自動車国道」と呼ばれる、道路法の根底に基づいて整備されたもの。民営化を前に料金収受で建設・維持管理するのは採算上の問題が生じたことから、国と地方自治体が税を負担して整備した新直轄道路である。この際、大分県や宮崎県も税負担で整備したことから、理論上は道路法のルールに基づいた「国道」でもある。

 国道という大義名分があるならば、国道388号のバイパス道路が事実上の東九州道と拡大解釈することは、ややオーバーだとしても一理あろう。コレならば法律上は「酷道」は解消されたと言い切れる。但し、蒲江~北浦は国道388号バイパスではなく単独の高速自動車国道として整備してしまったため、国道388号自体は旧道とは見なされない。

 これを踏まえれば、

  • 蒲江町・北浦町の自費で建設した広域農道で、まず、県境部突破の問題は解消。
  • その上で、道路法に基づく国道388号の迂回路は、計画線に浮かんでいた東九州道の整備を代替とした上でクリアーした。
  • 物理的・論理的ながらも擬似的な「酷道」は解消されたため、見かけ上の県境部の酷道は残っても、行政も利用者も特に問題視する必要はない。

 となって現在に至るのが着地点だろう。

 大分県と宮崎県に関しては、法律上のスキを突いて裏ワザ的に酷道を解消することが出来たが、1993年に大幅延長した宮崎県~熊本県に関しては、そうした裏ワザ的な手法が無いため、全区間で県税負担(一部は国の補助も入る)で線形改良工事・バイパス道路の整備が必要になってくる。蒲江~北浦以上に沿線人口が少ないため、もはや絶望的か。 

ゆえに、高速道路は必要だ―ネットワーク日本、めざして
 

広島呉道路⇔広島高速 乗り継ぎ割引

corp.w-nexco.co.jp 広島高速広島呉道路との連続利用を増進するため、坂料金所を軸に広島高速へ乗り継ぎした場合、または広島高速から広島呉道路へ乗り継ぎした場合、広島呉道路の通行料を値引きする。

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 対象となるのは、広島高速⇔坂料金所以南を連続利用する場合。但し、仁保ICを入退場とする場合は割引の対象から外れる。他にも、広島高速で完結する走行が考えられる一部のインターチェンジ(間所・府中・東雲・出島)も対象外。

 割引額は普通車で150円となっており、たとえば仁保→呉の場合は、普通車で940円となるが、割引適用後は790円休日割引の場合は570円となるため、土日祝日で広島呉道路を全部走行する場合は約40%近い割引を受ける計算となる。広島高速の部分自体は別料金となっており、山陽道・都市高速広島東JCT~仁保ICまで走行する場合は、従来通り普通車で730円となる。

 広島呉道路と接続する国道31号や、その周辺道路の混雑回避を理由に、実質的な初乗り料金を割り引くもの。遠方客が呉方面に向かうに便利そうだ。

県境未確定区間における「酷道」の例 国道447号編

 国道447号は、宮崎県えびの市と鹿児島県出水市との間を結ぶ路線。並行して国道268号があるものの、268号が湧水町の方に迂回するのに対し、447号は真幸駅近くの峠を越す形で路線指定がなされており、一見するとこっちの方がショートカットのように見える。

 実際には真幸駅伊佐市大口上青木地区までの区間に「酷道区間が残されており、この路線でショートカットを狙うのは難しい。一応、酷道を解消するためのバイパス道路建設は進んでいるものの、県境部のトンネル堀削に関しては全く着手されていない。

 技術的な問題とは裏腹に、「どうして穴を掘るのにこんなに時間が掛かるのか?」と疑問に思うところ。そこには未だに鹿児島県と宮崎県との間でシコリが残る県境未確定問題が絡んでいる。

県境未確定区間を走ってみた

 宮崎県側から向かうと、真幸駅の先でバイパス工事に伴う付け替え道路に入り、そのまま酷道区間に誘導され、典型的な山道向けのクランクが連発する。走ること約10分、県境部に到達する。

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宮崎県側から見た鹿児島県

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鹿児島県側から見た宮崎県(あくまでカントリーサインで見た場合)。

 県境部のカントリーサインは至ってシンプルな標識があるだけだが、なぜか鹿児島県は路肩部の白線部分の切れ目にあるのに対し、宮崎県はその先の急カーブの所に標識がある。この程度なら、単にそこに設置した方がよいという行政面での都合で終わるところだが、謎なのが鹿児島県のカントリーサインの奥にある国道447号の補助標識。「鹿児島県なのに、なんで宮崎県の県境を促してるのよ、アンタ?」みたいな案内をしており、県境が一致しないのである

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鹿県のカントリーサインをズームイン。
その先にある国道447号の補助標識は、鹿県にいるにも関わらず「宮崎県の県境」と主張している。

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鹿県が県境と主張する場所をカーナビで検索。案内は宮崎県^^;

 鹿県に入った後も、補助標識では伊佐市大口上青木地区を案内しているにもかかわらず、カーナビ(Googleマップを含む)ではえびの市を案内したりと、いったいどこの領地を走ってるのかと疑問になる。カーナビの案内では、鹿県側のクネクネカーブの途中で、一旦、宮崎県側に戻るらしいが、国道の補助標識では伊佐市を案内するなど、いかにも領土問題で係争してそうな空気が漂う。

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カーナビの上では鹿県→宮県→鹿県を通るらしいが、補助標識は鹿県縛り。

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上述の国道標識がある場所をカーナビで調べると、宮崎県と案内している。

地図上の県境は、かなりアバウト

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国土地理院が公開している地図。県境部が不自然に真っ直ぐ一直線になっている。

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Googleマップでも確認。こちらも県境部はテキトー。

 県境部の資料をネット上で調べたものの、官公庁(少なくとも鹿児島県・宮崎県・熊本県)が公表している明確な情報がなかった。「昔、ココは薩摩藩の領地だったから、今も無理して変えなくていい」という説もあるが、真偽は不明。県境を明確に定めないといけないものの、鹿県・宮県どちらも表に出せない程にデリケートすぎる話が絡んでいる説も考えたが、この辺も後日、調査の対象としようと。(多分、忘れてる)

トンネルを掘れないのは、やはり係争問題にもつれ込むからか?

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峠の寸前まではバイパス道路が出来ているが、穴を掘ってる気配はゼロ。

 県境部がかなり適当に定まっていることや、国道標識などでも正確な鹿児島県・宮崎県の領地を策定しているように見えないことから、取りあえず県境と思われる場所まではバイパス道路を整備し、真の県境が確定して行政面での領地問題をクリアーした後で穴掘りに着手するのだろう。穴掘りとは言え、地図で定めた以上は、地下空間もその県の領地。もしかしたら国土地理院Googleマップが示す県境(仮)というのは正式なモノで、領有権に関する手続きを水面下で行っているのかもしれない。

 なお、先ほどの「標識の上での県境部」には、一応、旧・一般県道大口真幸線だったことを踏まえた石碑が建てられている。ただ、コレは県境というよりも、「領有権が完全に解決した場所がたまたまそこだった」か「そこが峠の頂上だから」程度のモノであり、やはり正確な県境であるとは言いきれない。「暫定県境」としてこのまま鎮座していくのだろうか。

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建前上の県境には、旧・一般県道大口真幸線だったことを示す石碑がある。
47都道府県の歴史と地理がわかる事典 (幻冬舎新書)
 

山口県に残る「酷道」(後編) 国道491号

 山口県の国道は、元々が自動車交通に依存した地域性であることから、大半の場所で改良工事が完了している。そのうち、直轄国道として山口河川国道事務所が改良・バイパス新設工事を行っている物件ではなく、山口県が独自に整備している路線に目を充てると、今でもコンスタントに「酷道」が残されている路線がある。

 後編は国道491号を。

soramameroad.hatenablog.jp↑前編はコチラをクリック。

国道490号の方がまだマシ

 国道491号は下関市長門市油谷とを結ぶ路線。2箇所(貴飯峠・下関市 / 長門市境界)に酷道区間が存在するが、前編の国道490号と決定的に違うのは、明らかに離合不能+路肩がヨレヨレ過ぎるという所

 特に下関市菊川はマトモに離合することが困難(車1台分)であり、落ち葉や落石なども散乱しており、道路状態は極めて悪い。道中にある貴飯峠には、ご丁寧に国道491号の存在を強調する例のおにぎりがあるが、「その前に道路の拡幅・離合ポイントの強化の方が先だろJK」とツッコミが入りそうになる。

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貴飯峠にある国道491号(r280重複)。……国道の品格にあらず。

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ヨレヨレな1車線道路が延々と続く。道路の維持管理も殆ど行っていない。

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離合不能区間の立て看板。

 下関市から長門市(旧地区・油谷地区)へは、主要道・下関長門線経由で向かう方が圧倒的に早く、長門市内では山陰道が部分開通していることもあり、かなり楽である。使うのは生活道路としてやむなく使う地元の人か、余程興味のある人に留まるだろう。

E9山陰道の整備も視野に入れた路線

 マトモな走行が困難な国道491号が路線指定されている理由だが、コレもR490の時と同様、将来的にはE9山陰道の整備にあたり、自専道建設の根底となる並行路線の策定がある

 元々は主要道・下関長門線の一部区間と、主要道・下関豊田油谷線(廃止)のほぼ全域を国道に格上げしたもの。国道に格上げされれば、国からの補助が下りるために国道バイパスの整備が行いやすくなる。しかし、例の2つの峠越えに関しては完全放置であり、多少の離合強化を図る程度に留まっている。

 一方で、現道よりも大きく東に離れた主要道・下関長門線沿いには、E9山陰道が段階的に建設・供用されている。見た感じでは主要道のバイパスのように見えるが、実際には国道491号のバイパス道路扱い。そのためか、国土交通省山口県が公開しているE9山陰道の予定路線では、国道491号になる前まで存在していた主要道の通過点である、下関市豊田町(それも国道491号現道に限りなく近い場所)を通る方針になっている。

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俵山北IC~下関市豊田町までのE9山陰道予定線
国土交通省 中国地方整備局 E9山陰道ポータルサイトより引用)

 E9山陰道の終点がE2A中国道・小月ICに設定されているのも、そこで国道491号と接続しているためであり、国土開発幹線自動車道の予定地である美祢市に関しては、1ミリたりとも通らない。完全な未成線状態の豊田~小月ICまでの区間に関しては、下関長門線と現道の国道491号とのほぼ中間点に通しつつ、菊川ICから先は完全に国道491号とベッタリくっつくような形で建設されるのではないかとみている。

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未成線である豊田~小月。菊川まではR491現道と主要道とのほぼ中間部を通るのでは?
国土交通省 中国地方整備局 山陰道ポータルサイトより引用)

 そのため、最初のうちは生活道路でありながらも、狭隘区間が数多く残る場所(+大坊ダム周辺)を重点的に改良し、それが済んだ後はE9山陰道のバイパス扱いで国道整備を強化。もしも小月ICまで繋がったら、後は現道の国道指定を解除すればいい。

 現に、貴飯峠区間の国道491号は、重複して山口県道260号宇賀山陽線が設定されており、その気になれば国道→一般県道に引導を渡すことも可能としている。

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E9山陰道が一本化された後は、r260単独に変えてあげればいい。

 ところで、E9山陰道のホントの終点は美祢市に設定されている。この部分はどうすればいいかと考えたが、小郡萩道路をE9山陰道の別線扱いにし、高速道路ナンバリングは「E9A」みたいにしてあげれば、理論上は美祢市に到達したことになる。コレで良いんじゃないんですか?(適当)

E9山陰道の小月接続が待ち遠しい

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待ち遠しいな、E9山陰道長門市~小月)

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少しずつ形になってきた「木与防災」

 山口県区間のE9山陰道は、既に開通している「萩・三隅道路」「長門・俵山道路」を除けば、まだほんのチョッとに過ぎない。つい最近になって「県境区間」「木与防災」「大井萩道路」「俵山・豊田道路」が事業化されたモノの、いずれも一般道の走行が難しい場所を中心に策定している。

 豊田~小月は執筆段階では特に事業化されていないモノの、現状では主要道が比較的快速に走行できることから、恐らく最後の〆で事業化するのではないかと予想する。石見・山口県北の山陰道が出来れば、山口まわりとは違った旅を楽しめるようになる。今後の進展に期待したい。

インフラ・ストック効果 - 新時代の社会資本整備の指針