そらマメさん道路局

以前のブログから、道路関係と一部の公共交通の話を分離させたもの。鉄道関係・新聞流通の話は、別ブログで。

運用開始後のBRT日田彦山線を考える ◇

www.nishinippon.co.jp

 既に東峰村側は数日前の地点でBRTに転換するという意思表示を示しており、昨日の村議会で正式にバス専用道を受け入れる方針を決めたため、後はJR九州との協議でBRTの運用を巡る議論へと進んで行く。ココに到達するのに3年。なんでそんなに鉄道にこだわるんだか……と客観的に見ていた私にしたら、JR線という一つの在来線を残してくれただけでも奇跡である。

 で、その話はもう終わったので、ココでは実際にBRTで運用を開始した時の課題を考えてみる。

たぶん、これは導入しない「SUGOCA

 交通系ICカードでの乗車。BRT気仙沼大船渡線の場合は、原則としてバス車内のみ使える「odeca」を導入し、通勤・通学客のアシストを行っている。odecaと他の交通系ICカードSuicaなど)とは基本的に互換利用が出来ない。つまり、ハナからBRT区間でしか使えない交通系ICカードである。

 一方、今回のBRT日田彦山線では、JR九州SUGOCAを利用できるようにするとは考えにくい。理由として、

  1. BRT日田彦山線は見かけ上は在来線だが、実際のところは「道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送事業」として運行されているため、JRの鉄道利用における「旅客営業規則」が適用されない(一般乗合旅客自動車運送事業取扱規則に基づく路線バス扱い)。そのため、今まで利用できていた「SUGOCAの連続利用特例(善導寺⇔夜明⇔城野を途中下車せずに利用)」が適用されなくなる可能性が高い
  2. BRT区間にもSUGOCAを導入となれば、元々利用客が皆無に近い地域に対し、多大な設備投資が必要になる上、現段階ではBRTと鉄道の境目となる添田駅をはじめ、そこから北側の添田~城野+後藤寺線にもICカード読み取り装置を取り付けないといけなくなり、低コストで運行再開という建前論が崩れる。
  3. バス輸送を外部委託(恐らく、夜明・添田で繋がっている西鉄グループになるものと見られる)する場合は、その委託に対するコストも発生するため、設備投資の面で割に合うとは考えにくい。

 これらが挙げられる。もしかしたらポンチョを運行するバス会社が西鉄系となり、それでいて日田バス西鉄バス筑豊でも導入されているnimocaで乗車可能となるなら、BRT気仙沼大船渡線の考えに近い「nimocaでBRT日田彦山線だけ利用可能」という可能性も、なくはない。が、どちらにしても添田 or 夜明・日田で乗り継ぎとなった時にJRきっぷを別途用意する必要があるとなれば、磁気券での乗車か直接運賃支払いのどちらかが主流になるのは必至となるため、BRT日田彦山線ではSUGOCAnimocaなど)は利用不可+乗り継ぎ特例も適用されなくなると思った方が良いだろう

 気になる運賃だが、元々、BRT日田彦山線JR九州の自腹で行うという前提になっているため、特に消費税率や基本運賃の改定をしない限りは現行と同じになるだろう(BRT気仙沼大船渡線の時と同じ)。ただ、今回は福岡県の要望に応じる形で、筑前岩屋~宝珠山を専用道で整備することになっているため、この部分を利用者負担に転換となれば、単純に考えれば基本運賃の上昇は避けられない(2020年現在で添田~夜明が660円なので、転換分を反映となれば700~750円ぐらいになる?)。

 他にも、BRT気仙沼大船渡線の時に見られた、鉄道区間との乗り継ぎに対する特例や、BRTであっても定期券での利用が可能になるのか、青春18きっぷ・満喫きっぷなどの乗り放題きっぷによる乗車も可能かという課題も考える必要がある。

大行司駅はどうするんだ?

www.nishinippon.co.jp

 途中の大行司駅は、ホームと駅舎がある場所が80段近くもあり、バリアフリー対策なども全く施されていない。しかも東峰村役場に近いのはこの大行司駅であるため、役場へのアクセスは「あくまでも村民や東峰村の意見を尊重」という立場から、かなり度外視している。

 元々、JR九州「大行司は高台にあるから利便性が悪く、BRT駅として使うには不適切」という考えから、敢えて筑前岩屋で一般道に戻る計画を立てていた。そのため、アノ石橋にバスが通るだけでもマシという考えで生まれた延伸策は慎重に考えないといけない。

f:id:fuwafuwaame:20200527113641j:plain

麓へどうやって降りるのやら。バリアフリー工事も割に合う投資とは言いにくい。

 対策としては2つ。一つは「バス専用道を通る時間帯と、一般道を通る時間帯で分ける」というもの

 通勤・通学時間帯は利用者の利便性を勘案し、筑前岩屋⇔(一般道・東峰村役場前)⇔宝珠山を行き来するが、それ以外の時間帯はバス専用道で大行司に停車。これならば、JR九州が提示した利便性向上と、東峰村が尊重する専用道の有効活用どちらも意見がまとまる。一番これが現実的な落しどころではないかと見ている。

 もう一つは「大行司駅の駅ホームを大きく低くする」というもの。現在の80段近くもある階段を出来るだけ低くし、その分、専用道区間の坂道をやや急傾斜にする。既に専用道は鉄道ではないため、自動車の道路交通に支障が出ない範囲(最大傾斜5%を目安に検討)で改築し、大行司駅のホーム部分のみ平らにしてポンチョに乗りやすくする。

 専用道自体の改築が必要になるため、極めて多大な県税が必要になる上、バリアフリー化にしても階段とは別の通路を作らねばならなくなる。人口減少社会の東峰村で、それは実現出来るものなのかは微妙だし、もしもBRT自体が戦力外となった時は、JR九州が懸念する鉄道の負の遺産となるのは必至だ。

 なお、個人的な考えとしては、別に大行司は相対式ホームである必要はないと見ている。鉄道時代であれば本数も多かったことから、信号待ちを行う観点から相対式で運用という形で対処していたのだろうが、BRTであれば、せいぜい釈迦岳トンネルでの待機程度に留まる。であれば、筑前岩屋駅を相対式に作り替え、それとは別に添田町側にも1箇所程度の待避スペースを確保できれば、それで十分ではないだろうか。

代行バスの臨時駅・小石原庁舎前駅はどうする?

f:id:fuwafuwaame:20200527115656j:plain

あくまでも臨時。

 今年のJRダイヤ改正でコッソリと追加された改善点の一つで、新たに小石原村庁舎(旧・小石原村役場)前にも臨時駅が追加されている。BRTで復活するにしても、専用道区間の工事には数年程度の期間を要することから、当面はココにも代行バスが停車する。駅の近所には道の駅小石原もあり、小石原焼を含めた文化拠点が数多くある。

 廃駅後は大行司駅宝珠山駅で一旦下車した後、西鉄バスに乗り換えてココに来るしかないが、元々、東峰村は完全な自動車交通に依存した地域社会で、バス利用も殆ど使われていない。ユニバーサル・サービスの維持という側面で考えたとしても、BRTが完成した後は必然的に廃駅となり、再び西鉄単独のバス停に戻るものとみている。

 駅舎がある場所では自動販売機を設けたり、JR九州のことだから、市町村民の生活向上と称してファミリーマートJR九州系)やドラッグイレブンなどの商業施設を誘致、なんてのも考えたが、殆どペイ出来ない地域にそれを導入しても数年で撤退というオチが目に見える。無くは無いが、今の地点ではそこまでJR九州が面倒見切れる訳ではない程度の解釈である。

 

 今の所はこんな感じ。