山口県の国道は、元々が自動車交通に依存した地域性であることから、大半の場所で改良工事が完了している。そのうち、直轄国道として山口河川国道事務所が改良・バイパス新設工事を行っている物件ではなく、山口県が独自に整備している路線に目を充てると、今でもコンスタントに「酷道」が残されている路線がある。
後編は国道491号を。
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国道490号の方がまだマシ
国道491号は下関市と長門市油谷とを結ぶ路線。2箇所(貴飯峠・下関市 / 長門市境界)に酷道区間が存在するが、前編の国道490号と決定的に違うのは、明らかに離合不能+路肩がヨレヨレ過ぎるという所。
特に下関市菊川はマトモに離合することが困難(車1台分)であり、落ち葉や落石なども散乱しており、道路状態は極めて悪い。道中にある貴飯峠には、ご丁寧に国道491号の存在を強調する例のおにぎりがあるが、「その前に道路の拡幅・離合ポイントの強化の方が先だろJK」とツッコミが入りそうになる。
下関市から長門市(旧地区・油谷地区)へは、主要道・下関長門線経由で向かう方が圧倒的に早く、長門市内では山陰道が部分開通していることもあり、かなり楽である。使うのは生活道路としてやむなく使う地元の人か、余程興味のある人に留まるだろう。
E9山陰道の整備も視野に入れた路線
マトモな走行が困難な国道491号が路線指定されている理由だが、コレもR490の時と同様、将来的にはE9山陰道の整備にあたり、自専道建設の根底となる並行路線の策定がある。
元々は主要道・下関長門線の一部区間と、主要道・下関豊田油谷線(廃止)のほぼ全域を国道に格上げしたもの。国道に格上げされれば、国からの補助が下りるために国道バイパスの整備が行いやすくなる。しかし、例の2つの峠越えに関しては完全放置であり、多少の離合強化を図る程度に留まっている。
一方で、現道よりも大きく東に離れた主要道・下関長門線沿いには、E9山陰道が段階的に建設・供用されている。見た感じでは主要道のバイパスのように見えるが、実際には国道491号のバイパス道路扱い。そのためか、国土交通省や山口県が公開しているE9山陰道の予定路線では、国道491号になる前まで存在していた主要道の通過点である、下関市豊田町(それも国道491号現道に限りなく近い場所)を通る方針になっている。
E9山陰道の終点がE2A中国道・小月ICに設定されているのも、そこで国道491号と接続しているためであり、国土開発幹線自動車道の予定地である美祢市に関しては、1ミリたりとも通らない。完全な未成線状態の豊田~小月ICまでの区間に関しては、下関長門線と現道の国道491号とのほぼ中間点に通しつつ、菊川ICから先は完全に国道491号とベッタリくっつくような形で建設されるのではないかとみている。
そのため、最初のうちは生活道路でありながらも、狭隘区間が数多く残る場所(+大坊ダム周辺)を重点的に改良し、それが済んだ後はE9山陰道のバイパス扱いで国道整備を強化。もしも小月ICまで繋がったら、後は現道の国道指定を解除すればいい。
現に、貴飯峠区間の国道491号は、重複して山口県道260号宇賀山陽線が設定されており、その気になれば国道→一般県道に引導を渡すことも可能としている。
ところで、E9山陰道のホントの終点は美祢市に設定されている。この部分はどうすればいいかと考えたが、小郡萩道路をE9山陰道の別線扱いにし、高速道路ナンバリングは「E9A」みたいにしてあげれば、理論上は美祢市に到達したことになる。コレで良いんじゃないんですか?(適当)
E9山陰道の小月接続が待ち遠しい
山口県区間のE9山陰道は、既に開通している「萩・三隅道路」「長門・俵山道路」を除けば、まだほんのチョッとに過ぎない。つい最近になって「県境区間」「木与防災」「大井萩道路」「俵山・豊田道路」が事業化されたモノの、いずれも一般道の走行が難しい場所を中心に策定している。
豊田~小月は執筆段階では特に事業化されていないモノの、現状では主要道が比較的快速に走行できることから、恐らく最後の〆で事業化するのではないかと予想する。石見・山口県北の山陰道が出来れば、山口まわりとは違った旅を楽しめるようになる。今後の進展に期待したい。