平成になって誕生した国道(450号~507号)は、ある所では自動車専用道路ONLYとして整備され、まさに特別扱いされている路線もある一方で、農村部を中心に酷道が残されている所も根強く存在する。
また、国道にアップグレードしたい!という自治体の強い意向を示してか、無理やり主要道を国道に鞍替えした路線も数多くあり、九州島では国道503号がその一例となっている。
国道503号は全線通じて道路整備があまり宜しくなく、序盤と終盤を除いて道幅が異様に狭い。つまり、典型的な「酷道」である。
単にソレだけなら他にも似たような路線はたくさんあるが、この国道のポイントは「本当の起点・終点は別の場所にある」という所である。確かに地図上では、起点が諸塚村・終点が五ヶ瀬町にあるものの、本当の起点は熊本県高森町・終点が宮崎県日向市にあり、他の国道と重複しまくっている。
【重複区間の位置関係】
どうしてこんなに単独より重複だらけなのか。国道指定は「一級国道」「二級国道」と分かれていた時には明確なルールが存在していたものの、一級・二級の区分が廃止され、単に一般国道となった1965年の道路法改正以降は、主要道をつなぎ合わせて国道へ昇格してもよいように解釈が変更されていった。
しかしながら、小さいムラどうしを結ぶ主要道を「国道」に鞍替えするのは、かなり政治的で恣意的と思われてしまう。そこで、旧・国道制定のルールだった「重要な自治体を連絡して、旧・一級国道に達する道路」を拝借することで、強引に国道指定に結び付けようとしたと考えられる。
現在、五ヶ瀬~諸塚の間には、難所・飯干峠をトンネルの形態で結ぶ計画があり、沿線にもトンネル誘致の垂れ幕がそれなりにある。しかしながら、2つの自治体共に人口が極端に少なく、費用対効果を重要視する国土交通省や各都府県も、厳しい財政難の状況で誘致をするのは安易なことではない。地震や集中豪雨による自然災害が発生し、ムラが孤立する事態が生じた時に下りる特別予算でないと、バイパス・穴掘りは難しく、しばらくは宙に浮いた状態が続くものとみられる。
余談ながら、単独区間は単なる峠越えだが、諸塚村の吐の川交差点以降は耳川と九州電力(旧・住友財閥)が整備した水力発電ダムが連発する国道327号と重複する。全然知らずにそこを走ったら、驚くほどにダムが大量に設置されており、ダムカードを集めるのが大変だった(しかも1枚は無くしてしまうし)。