広島市安芸区の瀬野駅には、分譲住宅のみどり坂へ向かう時に便利な「スカイレール」と呼ばれる乗りものがある。
一見するとロープウェイっぽい構造をしているが、単なる吊り下げ型ではなく、車体の支持を桁橋と車輪の組み合わせで行っている所がロープウェイと異なる。そのため、強風に左右されにくく、極端な傾斜角度であっても安定した走行が可能な造りをしている。1998年の分譲化完成と同時に運用が開始され、その地域に住む住人にとって、JR線との乗り換えをシームレスに行える貴重な足となっている。
乗車券
乗車券は表面にQRコードが刻まれており、このQRコードを改札機に読み取らせる形式を採る。この方法は、北九州高速鉄道(北九州モノレール)で導入されたモノと同じだが、違いはスカイレール線はエドモンソンきっぷ、北九州モノレールは85mmきっぷであること。もう一つは、スカイレール線では出場改札を行う必要なく、そのままきっぷをハコに投入するという仕組みである。
スカイレール線には中間駅のみどり中街駅があるが、運賃は一律でおとな170円(こども半額)に設定されている。距離や移動時間・建設費回収などを勘案すると、若干割高に感じるかもしれない。
乗車体験
スカイレールの乗車口は完全な一方通行になっており、ドアが両面あるのに対して、入口と出口では異なる扉が開く。入口側は改札機があるのに対し、出口側は回収箱があるだけで改札機はない。また、出口から入ろうとしてもドアが一切開かないため、不正乗車はしづらい。
運行時間帯は、通勤・通学時では本数が多くなり、JR線の普通・快速(通勤ライナー・シティライナー)のタイミングに合わせるように設定されているが、データイムは最も長くて20分間隔である。
実際に乗車してみると、体感的にはロープウェイそのものだが、厳しい傾斜角度がある場所でもスピードが落ちたり速まったりすることなく、常に一定速度で坂を登っていく。ロープで吊している訳では無いため、階段式エスカレーター or エレベーターのような感覚に近いかもしれない。
頂上に着いたところで、周辺は造成された分譲住宅だらけなので、特に立ち寄る場所はない。訪問当時は、そのままUターンして瀬野駅に戻った。
ちなみに、2019年8月の訪問地点では、接続する山陽本線・瀬野駅において、みどりの窓口と指定席券売機(アシストなし)が稼働していた。2021年9月現在でも窓口は営業しているものの、JR西日本のことなので、そんな遠くない未来に指定席券売機強制化(窓口廃止・改札のみ)に切り替わるのは時間の問題と言える。