JRや私鉄などの鉄道事業者では、サインシステム向上の観点から、駅ナンバリングとは別にラインカラーを独自に定めている。NEXCO各社はどうかというと、積極的に採用されているのはNEXCO中日本。今日は、このお話をしましょう。
NEXCO中日本
元々は大規模工事を実施する際、適当にラインカラーを定めたのがきっかけだが、その後は「路線を象徴する色」として、高速道路ナンバリングとは別に積極的に採用する傾向が強くなった。
実際、NEXCO中日本の広報でも、初期に策定された路線は特に深い意味はなく、後発で登場した路線案内では、沿線地域において何かしらの特徴を持った色使いを考慮することを示唆している。
高速道路の路線ごとに「道路カラー」があります。例えば、東名は「スカイブルー」、中央道は「ピンク」、中部横断道は山梨のぶどうをイメージして「ぶどう色」など。工事のCMやポスターでも、路線ごとにイメージカラーを使い分けしています。好きな道路のカラーをチェックしてみてはいかがでしょう?🎨 pic.twitter.com/Xrkw4OnH9r
— みちのつぶやき~NEXCO中日本~ (@cnexco_official) 2021年10月25日
路線別ラインカラー
基本的なラインカラーは上述の通り。途中でナンバリングが変化する中央道の場合は「明るめの赤紫」をベースにしつつ、岡谷JCTでラインカラーの配置を反転させるように工夫している。
興味深いのは「別系統の路線と乗り継ぎをする場合、当該路線は混色にする」という傾向にあることと、路線軸ごとにラインカラーに明暗が付けられているところ。東名軸は海沿いを通ることから明るめの色が多い一方で、中央道では深めの色を多用、北陸道は原則2パターンのみとシンプル、中日本高速の本社がある名古屋都市圏はバリエーションが豊富に揃う所だろう。
NEXCO東日本
soramameroad.hatenablog.jp↑を参照。
NEXCO西日本
中日本・東日本とは対照的に、NEXCO西日本では特に明確なラインカラーは定まっていない。各工事箇所ごとにまちまちであり、チラシや工事CMなどでも地域支社ごとに異なるデザインになる。例外的に八日市ICで接続する他社線相手に、名神高速だけは緑色を指定することもあるが、基本的にはコーポレートカラーの「青」で共通化されていると考えた方が良いだろう。
なぜラインカラーを策定するのが効果的なのか?
早い話、高速道路ナンバリングに加えて路線別に異なる色を設けることで、どの路線を選択すれば迷わず目的地に到達できるか?ということである。鉄道・バスの場合は百花繚乱の状態になっているが、元々は行き先番号だけでは分からない公共交通機関にとってみれば、色分けすることで更に目的地に到達しやすくなるため。
高速道路会社や国土交通省などが定めた道路名は、土地勘に弱い人にしてみたら「何のことやら?」となる。中には紛らわしい営業路線名(例:日本海東北道と東北中央道)も混在することから、遠方客や外国人観光客の視点で考えれば、高速道路ナンバリング+高速道路ラインカラーで案内した方が明確性に優れるのは言うまでもない。
そうした意味で、NEXCO中日本がいち早く導入した高速道路ラインカラーは、ある種、先見の明があったと言える。
まとめ
NEXCO中日本管内の場合、ラインカラーが未確定なのは中部縦貫道の有料区間である「安房峠道路」ぐらいなもの。これも大規模工事や延伸に伴って、ラインカラーが策定されるとみられる。また、NEXCO東日本管内も、網の目のように整備された首都圏の高速道路を中心に、中日本と共有する路線を除いて、独自のラインカラーを次々に設定していくものとみている。
一方、NEXCO西日本は微妙。正直、4つの地域支社ごとに対応がバラバラだし、そもそも地域間における一体感があるように見えないため、今後もまちまちな状況が続いていくものと見ている。もっとも、地域ごとに対応が異なるというのは、別の視点で言えば独自性を尊重している高速道路会社であるとも言えるため、みんな違ってソレでよいという方針なのだろう。
初版:2019年11月26日