広島県安芸太田町に設置されている加計スマートインターは、現在主流のモノとは大きく異なる構造をしている。
元々は社会実験として2004年12月に導入されたもの。評判が良かったことから社会実験を継続し、2006年10月1日より正式なインターチェンジに格上げされている。現在のモノと異なるのは、現金等などの非車載やETC通信エラーが発生した時、スマートインターから退避するための場所が出口に限られている所だ。
初期のスマートインターは「通信エラーが発生しても、一般道へ戻れる距離が極端に短いなら、バックで戻る程度でOK」という認識だった。そのため、退避路という考えがなく、係員が誘導した場合であっても、後続車に激突してスマートインターが利用できなくなる問題が多発していた。この教訓から、現在はたとえ短距離で一般道⇔高速本線を行き来する場合であっても、必ず、退避路を確保するような設計に変更されており、後発で誕生した中国道のスマートインター(湯田温泉・夢前)には、通信装置の前後に退避通路を設けている。
加計スマートインターの場合は、社会実験時からのモノがほぼそのまま使われている。運用開始当初は係員によるサポートもあったが、現在は戸河内インターの料金所から遠隔操作で対応するように変更。加計スマート自体はその地形上、極端に利用者が少ない村里にあることから、改築工事をする必要がないという判断から来ているのだろう。
ちなみに、もしもちゃんとした形にする場合は、誘致した安芸太田町が全額自腹で改築することになっている(NEXCO西日本は料金収受施設の取り付け工事のみ)。事故の少なさなどを天秤に掛けた場合、ムリして改築する必要はないという判断だろうが、それでも入口は危険を伴う。
なお、出口に関しては修正が施され、当初は出口ゲートに料金徴収用の通信装置があるだけだった。しかし、この場合だと退出時にエラーが発生した時に後続車に激突する可能性があることから、ETCが正しく受信するか確認するための通信装置が加計BS(除雪基地がある管理用施設内)に追加され、本線復帰用の通路も確保されている。
大型車向け通路
加計スマートインターの特徴として、もう一つあるのが「大型車向け通路が別枠で設置されている」ところ。これは一般道から入口へ向かう際、中国道の真下を潜るカルバートボックスが狭すぎるために、大型車だと干渉してしまうため。
社会実験時は普通車以下の車両に限定していたが、正式稼働後は大型車が入口へ到達するための迂回路を確保するように改善された。やり方は別の場所へ迂回し、その後、入口近くの転回路でUターンして入場、という方法である。利用者が極端に少ないのを考えれば、改築するよりも小手先の微修正で対応する方が合理的なのだろう。
チェーンベースの役割もあり、数台程度は小型車も一時駐車OK。
インターの周辺
不自然なトンネル・直線路が続いており、いかに険しき山を通っているかがよく分かる。
インターの周辺は、太田川沿いを流れる中国山地によって阻まれており、インターの北側に集落・太田川に沿って国道191号が通過する程度。安芸太田町のうち、旧・加計町中心部へは、インターから国道経由で北上する必要があり、加計支所へは車で約5分程度の距離にある。
加計スマートインターはバス停が併設されているものの、山口方面へ向かう高速バスは存在しない。かつて存在した旧・可部線(戦力外)の代替路線となる戸河内・三段峡・益田方面の路線バスが1日数本停車・客扱いする程度である。
加計スマートインター、フルインター化&改築して欲しい
社会実験として始まり、正式稼働後は広島都市圏・浜田・大阪方面の連絡に一役買っている加計スマートインターだが、ココから戸河内・山口方面への相互利用は出来ない。加計地区・戸河内地区との間を連絡する場合、現在は国道191号経由で一旦、加計市街を通る必要があるものの、トンネル経由だと、理論上は僅か3分程度で反対側に到達できる。
単に時間短縮を目的としたフルインター化と思いがちだが、下記の理由で既存の国道191号には様々な課題が残る。
こうした諸問題に対処することに加え、現在は車両ごとに入口への到達が異なる煩わしさを解消し、かつ、入口ゲートでの通信エラー発生時に安全に待避できるスペースを確保するべく、現代的なスマートインターへの造り直しを求めたい。「出るのは簡単でも、中国道に戻るのはムッチャ大変」という心理的抵抗、改善して欲しい(個人差があります)。