そらマメさん道路局

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イチから高速道路を造り直すのとほぼ同じこと

www.e-nexco.co.jpwww.c-nexco.co.jpcorp.w-nexco.co.jp このほど、高速道路の長期保全・更新の在り方に関する調査や方向性がまとまり、規模を問わずに現状の道路施設を丸ごとリニューアルする場合、最低でも1兆円程度の予算が必要になることが判明している。

NEXCO中日本「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」より引用

今日もどこかでリニューアル

 大規模更新作業が必要になる根本的な理由をまとめると、

【全般】

  • 開通から50年以上経過した線区では、そもそもの道路施設にガタが来ている。

【異常気象への対応】

  • 大ユキによる除雪作業で塩をバラまくので、道路を傷つける。
  • 50年前とは比較にならない程の豪雨災害が多発しており、複線化の考えが重要視されるようになった。
  • 加えて、相次ぐ災害で元の地形がえぐれている所もあり、応急措置だけでは対応しきれない(作った時の技術では対応不可)
  • 阪神淡路大震災東日本大震災熊本地震などの巨大地震や、副作用で起こる大津波による被害が多発し、従来の方法では耐震性に限界があること。

【広域迂回への対応】

  • 緊急事態が生じた時、救援物資・緊急車両(初動は救急車に加え、自衛隊も含める)の移動に高速道路を利用する必要がある。
  • 広域迂回を行うにしても、その広域迂回に必要な道路が相当年数行ってるので、やはり不安。
  • 更新作業をするにも、対面通行が残る線区では渋滞のもとを引き起こす。

 などの条件が複雑に絡み合うことで、通常の補修で済ませるのではなく、道路施設(橋梁・トンネル)そのものを抜本的に造り直す必要があるため。つまり、イチから造り直すのとほぼ同じ

 50年前から笹子トンネル事故が起きた当時までは、どことなく作ってしまえばOKという雰囲気だったが、事故が起きた後は既存の道路施設を大切に守っていくことも大事、という国民理解が得られた。そのためには税金で賄うにはあまりにもムリがあることや、ETC利用促進の一環だったとはいえ、安直な1,000円高速・無料化実験といったポピュリズムとは明確に距離を置いている。

 償還期間が2115年まで延長したため、今後は長いスパンをかけて「イチから高速道路を造り直すことの大切さ」を、道徳のように教えていくことが必要である。頻繁に九州道などを利用する私も、常にどこかで大規模更新を行っていることを肝に念じ、大切に高速道路を利用できるように心掛けたい。