そらマメさん道路局

道路関係と、一部の公共交通の話・郵便局めぐりなどがメイン。

唐津線BRT(構想) ~持続可能な現実的交通モードの実現に向けて~

www.jrkyushu.co.jp 2021年度におけるJR九州の線区別収支のうち、いわゆる地方交通線をピックアップしている項目がある。この部分で紹介されている路線・線区のほぼ全てで営業損失・1987年の民営化当初との乗客数いずれも、大幅にマイナスに陥っている。

 「持続可能な現実的交通モードの実現へ」(鉄道輸送としては戦力外通告を意味する)を掲げ、槍玉に挙がった線区を、いかに維持していくか考えていく。

 1回目は唐津線久保田駅唐津駅

通学時間帯だけ多い

(源さくらさんの話)はあああ??こげん人おるやん、なんでココを切るとぉ???

(時計くんが憑依したヒナペン)多いのは朝夕の通学時間帯、かつ、佐賀・久保田~多久までで、他はガランとしてるよ。写真の場所は相知駅付近。
(さくら)「え?そげん少なかと……。どやんすー?」

 唐津線佐賀県南部の佐賀市と、北部の唐津市を結ぶ路線。

 元々この地域は自動車交通に依存しており、佐賀県国土交通省が段階的に国道203号バイパスの整備を進めていることもあり、事実上、鉄道としての唐津線は、殆ど役割を終えつつある。地域活性化や観光需要の拡大化を図るため、佐賀県の取り組みとしてはラッピング気動車ロマンシングサガゾンビランドサガ)の導入や、佐賀・久保田⇔唐津伊万里方面の期間限定乗り放題きっぷの助成などを行っているが、効果は限定的。

 県北と県南を縦断する唯一の鉄道路線であるため、利用者が全くいないわけではないが、定期利用者は朝夕に学校へ通学する学生にほぼ絞られており、全体を見ても佐賀~多久の範囲で最も過密になる以外、殆どが空気輸送である。路線に並行する昭和バスも、唐津線のダイヤ(1時間1本)のペースにほぼ合わせていることから、地域間輸送としての役割に疑問符が付くのは避けられない。

 一方で、唐津市内、特に中心部では観光地へ向かう乗客の需要があることや、ようかんの里で知られる小城市街を中心に通学・通勤する乗客がいることから、完全に廃線とするにはやや無理がある。

 これらを整理すると、鉄道輸送としての唐津線は廃止する代わりに、この線路をバス専用道に転換しつつ、小城・唐津市街では街の中心部を通る路線バスとして運行する案が望ましい

(カエルくん)平べったく言えば、「廃線」なんだけどね。

もしも唐津線BRTを導入となれば?

全般

 基本的には2023年夏に開業が予定されている、日田彦山線BRT(ひこぼしライン)と同じである。

  • 朝夕の通学・通勤時間帯にはディーゼル車ロングバスを運行し、それ以外のデータイムは小型バスであるBYD・J6(もしくはそれに似たポンチョ)を導入。
  • 通学時に限り、久保田~小城・多久までの区間を往復運行する路線バスが策定されるほかは、原則として現在のダイヤである1時間1本をベースにする。
  • 久保田駅長崎本線と対面乗り換えが出来るよう、プラットホームを改築。
  • 小城駅多久駅では、佐賀方面へUターン出来るよう、駅構内を改築して待避・折り返し通路を確保。
  • 山本駅では、そのまま国道203号に戻れるように改築(筑肥線の山本~伊万里の存続は考慮しない)。
  • 新設駅を含め、バスロケーションシステムの導入や、利用者の利便増進を図る購買施設の誘致・別の路線バス乗り換えを前提とした、事実上のバスターミナルを開発する。
  • SUGOCAなどの交通系ICカードが利用可能。但し、長崎本線筑肥線を連続利用することは出来ず、ホームまたはバス内で、一旦、精算しなおす。

 これらを軸に話を進める。

小城市区間

久保田~小城及び、小城西以降はバス専用道で。

 久保田駅でバス専用道との対面乗り換えを行った後、小城駅まで線路跡を走る。この間に小城市役所が近接することから、それも含めて2~3駅ほど追加する。

 小城駅で一旦、バス専用道が終わり、小城駅舎に到着後、そこから小城西駅までは路線バスとして小城市内を回る。想定ルートは、下記の通り。

小城駅 - 小城公園・歴史資料館前 - 烏森稲荷神社前 - 桜岡小学校・小城高等学校前 - 下町 - 小城郵便局前 - 栄町団地 - 果樹試験場前 - 天山宮前 - 小城西駅(新設)

多久市

全線がバス専用道。途中、利便性向上を目的に、停車駅を増やす。

 小城西駅でバス専用道に戻った後は、ひたすら専用道区間をひた走る。多久市内は全線がバス専用道だが、途中に3~4駅ほど新駅を設置し、鉄道時代では利用に難を要していた利便性向上を狙う。

唐津市

多久~相知もバス専用道。厳木地区に対し、バスの乗車機会を増やす。

相知~山本もバス専用道。山本駅でバス専用道が終わり、そこから唐津へは路線バス扱いで。

 多久駅~山本駅も、引き続きバス専用道。この線区では厳木・相知で専用道区間の停車駅が大きく拡充される。

 山本駅で一般道路に戻り、そこで客扱いをした後、唐津駅までは国道203号などで連絡していく。一般道路のルートは、概ね2通り。

【パターンA】(最短ルート)

  • 山本 - 唐津自動車学校前 - 鬼塚中学校前 - 川原橋 - 春日様前 - 鬼塚駅(鉄道駅とは異なる場所にある) - 丸宗 - 和多田BRT - 唐津西高等学校前 - 町田 - 汐の先 - アルピノ前 - 唐津駅(終点)

【パターンB】(唐津城虹ノ松原ルート)

  • 山本 - 唐津自動車学校前 - 鬼塚中学校前 - 川原橋 - 春日様前 - 鬼塚駅(鉄道駅とは異なる場所にある) - 西山 - 天満町南 - 唐津市文化体育館前 - 市民グラウンド前 - 先石 - 百人町 - 東町 - 東唐津虹ノ松原 - 東唐津3丁目 - 東唐津2丁目 - 東唐津1丁目 - 唐津城入口 - 城内二の門 - 保健福祉事務所前 - 大手口・唐津バスセンター前 - 唐津市役所前 - 唐津駅(終点)

 唐津市内の路線バスは、A系統・B系統いずれも、市内を回る昭和バスの唐津市内線をベースに設定している。

速達性が大幅に犠牲になる可能性

 唐津市内はともかく、小城市内では並行する国道バイパスが未成の状態であり、市街地での混雑が著しく激しいことから、BRTの持ち味であるバス高速輸送の役割が犠牲になる可能性が高い。そのため、佐賀唐津道路が整備されるまでは、暫定的に小城~小城西の間をそのまま直通する路線と、市街地に迂回運行するバスとで分担するのもよいだろう。

 実際にBRT方式に移行するかは疑問が残るが、自治体が主導となって佐賀唐津道路を整備している限り、唐津線そのものが完全に土に還ってしまうのも時間の問題といえる。敢えてBRTを導入せず、佐賀唐津道路の整備を待つ形で、その地域高規格道路唐津線の代替とするのか、あるいは存続を前提としつつも、JR負担を減らすための上下分離策・第3セクター方式への移管など、様々な交通維持の手段は考えられる。

 もしもそうなった時は……。受け入れるしか。。

(???)斬ることしか興味ない鉄道会社め。(威圧)
(カエル・時計)え、僕はただ、持続可能な交通手段の確保を……(汗