日田彦山線の復旧を巡る会議が、いよいよあと1週間となった(新型肺炎の問題で、議論が先延ばしになる可能性もある)。【追記】 県議会と福岡県知事との間で、鉄道復旧と地域復興策に関して議論を継続すべしという展開になったため、3月末での結論を出すのが不可能になった。もう一度、現在の状況を確認しておくと、
全然意見が噛み合っておらず、BRTどころか、下手すると個別対応として代行バスの地域間限定というシチュエーションも考えておいた方が良さそうだ。
福岡県側のgdgdとは裏腹に、大分県側ではBRT転換を前提としたバス停の配置が行われており、昨日、その様子をブラッと見学してみた。
夜明駅
2020年3月14日の全国ダイヤ改正に合わせ、代行バスが停車する場所においては、簡単なバス停留場の標識が追加された。夜明駅の場合、同一箇所で日田バス・日田市老人福祉バス(大鶴線)と、合計3路線が停車するが、日田バス・福祉バスいずれも平日のみの運転で、本数も極端に少ない。JR九州の代行バスの方が、日田バスよりも本数が多いという逆転現象が起きている。
BRT日田彦山線の日田市区間は、日田市福祉バスの停留場をベースに駅(バス停)を追加する方針となっており、夜明駅からバス専用道を整備するなどして、一般道路との連携といったステップには踏み込まない。BRT転換後は鉄道施設を撤去した上で、日田市や大分県に無償譲渡するか、JR九州が何らかの形で保有を続ける方針となっている。
今山駅
国道211号から今山駅に通じる細い道路との交差点付近に代行バスが停車しているが、BRT転換後はココではなく、本来の今山駅にまで乗り入れて、そこでUターンする見込み。今山駅には、BRT気仙沼線・大船渡線に見られた、簡単なプレハブみたいな待合室が誕生するのだろうか?
大鶴駅
2020年3月14日のダイヤ改正で、バス停の位置が国道211号沿いから、本来の大鶴駅に移動した事例の一つ。大鶴駅から乗客の乗り入れが出来るよう、駅舎内にあった荷物は全て片付けられ、建物の中でバスを待つことが可能になった。BRT日田彦山線として復活させる場合は、ココにバスロケーションシステムを導入したり、状況によっては自販機なども設置して、単なるバス停とはひと味違う現代的なサービスになる可能性もある。
大肥本町駅(仮称)
日田市区間のBRTで、住民からの要望が一番大きかったとされる、大肥本町地区の公民館にも来てみた。ココは農産物直売所があり、同時に、日田市大肥地区から小鹿田地区などの、やや山奥の方へ分岐するに重要な連結ポイントにもなっている。福祉バスの停留場(沙羅前)にも指定されていることから、今後、正式にココを駅と見なす場合には、何かしらの待機施設が必要になってくるだろう。
この近くで河川改修工事が行われていたが、同時に、それほど面積は大きくないものの、大型車の駐車が可能な程度のコンビニっぽい何かと思わしき基礎作りが行われていた。もしかしたら、BRT大肥本町駅(仮)は、そこを使うのかもしれない。
廃止を前提とした、福岡県側の日田彦山線
久しぶりの宝珠山駅に来てみたが、河川改修工事に伴って、JR線の橋梁は地元の意見など関係なく、遠慮無く撤去。駅の方も、春の若草がボーボー生え始めて、確実に土に還っている様子が確認できた。
東峰村は最後まで断固拒否の姿勢を崩さないため、鉄道事業の廃止後、鉄道施設を速やかに撤去(これには前述の通りに、釈迦岳TNを除いたトンネルや石橋なども、老朽化対策等を理由に全部撤去して土に還)し、自治体が勝手なことをしないよう、しばらくはJR九州が保有して「何かしらのビジネス」を続けていく(農業・分譲住宅の整備・公園整備など)という案があってもよい。儲かるかは分からんが。
予想
BRT日田彦山線そのもの
福岡県区間
- 福岡県の方針と、県議会・添田町との間で意見が分かれているため、暫定的にJR九州が提示したBRT駅の形態で運行。その上で、住民の意見をフィードバックした上で、駅の移設や既存の鉄道跡地をバス専用道に置き換えるといった案なども検討していく。
- 最後まで拒否する予定の東峰村は、JR九州は無条件で東峰村と縁を切り、鉄道施設の撤去を全て済ませた後、一定期間はJR九州が線路跡を保有して、JR九州側の経営方針に基づいて何かしらのビジネスに使う。
- 拒絶した東峰村の一部の鉄道原理主義派が暴走しないよう、バス専用道整備の際は細心の注意を払う。そして何より、東峰村区間にはBRT駅は設けない(筑前岩屋駅・宝珠山駅は素通り)。
大分県区間
この流れが最も現実的で、かつ、東峰村には残酷に見える結末だろうか。
正直言うと、やはり「個別対応」でBRT日田彦山線自体がお流れになるのは、私はイヤである。鉄道での復旧は無理だが、だからといってココで寸断されると、今度は18きっぷ・満喫きっぷで移動となった時に不便極まりない。東峰村がどんなに叫んでも、県議会のセンセイ方を巻き添えにして対抗しても、商売でやっているJR九州としては、営利と公共交通機関の役割を現代的な手法で継続していくことの方が大事であって、全く勝ち目の無い紛争に延々と負け続けているようなものである。
「本心としては鉄道」という考えは結構だが、もう少し自分たちの足下をよく見て、現代的な交通手段とは何かを真剣に考えて戴く(そうすると鉄道はムリってオチになる)。いつまでも反対ばかり叫んでも、正直、空しいモノですよ。(客観)