サービスエリア・パーキングエリアの隅っこには、先人達が残した高速道路開通記念碑が設置されていることがある。開通を記念し、建設に携わった人たちの名前や記憶を刻むことで、後世に道路の大切さを伝えていく意味合いがある。
しかし、最近開通した高速道路には、こうしたオブジェクトはない。そればかりか、既存の開通記念碑も撤去される運命にある。これはNEXCOグループなどが先人達の記憶を消失させる目的ではなく、ただ単に使い道がなく、休憩施設の維持管理をする上では不要の産物とされているからである。
また、直近の政府方針で、大型車向けの駐車場を可能な限り確保して、休憩施設の利便性改善と誰でも確実に休憩できる本来の姿に路線を修正していく以上、空き地になって使用用途がない部分(特に開通記念碑が置かれている箇所)は、国土交通省がNEXCO各社から買い上げて駐車場に転換する事例が相次いでいる。こうなると開通記念碑は、道路管理者にしたら不要なオブジェクトとして処分するしかなく、別の場所に移設しても置き場所に困るだけで、結局は銘板を除いて破棄する形になる。
そのため、最近は高速道路開通記念碑を新たに作るといったことはせず、行政文書や開通に関する資料に刻んで完結させる傾向にある。ある意味、日本道路公団時代は「歴史を伝える」という強い意志を、物理的に表現していたと言える。
個人的な見解としては、「高速道路の開通を記念した成果物」という程度の認識なので、あろうがなかろうが、別にどうだっていいという程度。寧ろ、現状は駐車場の強化と、通過主体の貨物車・移動重視派の人たちの考え(駐車マス拡大・シャワー設備の強化・大衆食堂路線・コンビニ誘致など)を尊重する方が理に適う。
休憩施設(駐車場などの道路施設を除く)は本来、NEXCO各社など道路管理者の持ち物ではあるものの、公共性が極めて高い高速道路の運用体制を決めるのは国土交通省(日本政府)。政府方針である以上、運用体制の見直しを常に行っていくのは仕方あるまい。