ETCが登場する前までは、特定線区の利用に対し、所定回数分の通行料をチケット方式で支払う回数券制度が存在していた。九州に住んでいた自分には全くなじみが無かったが、本州、特に大都市近郊区間では、均一料金区間の存在や多頻度に渡って高速道路を使う利用者相手に融通を利かせていた。
【回数券が設定されていた線区】
- E5A札樽道・E5道央道(札幌西⇔札幌⇔札幌南)
9回券/24回券/100回券- E1東名(東京⇔東名川崎 or 横浜町田 or 厚木)
53回券のみ- E20中央道(高井戸⇔八王子)
9回券/24回券/100回券- C3東京外環道(全線)
9回券/24回券/100回券- E23東名阪道(現・C2名二環 / 名古屋⇔名古屋西)
9回券/24回券/100回券- E25西名阪道(長原・松原⇔香芝、香芝⇔天理)
9回券/24回券/100回券- E26近畿道・E26阪和道(吹田⇔岸和田和泉)
9回券/24回券/100回券- E2A中国道(小月⇔下関)
11回券/60回券- E58沖縄道(全線)
200円区間~1,800円区間に対し、それぞれ9回券/24回券/100回券を用意
E58沖縄道のみ、利用金額に対してそれぞれ回数券が設定されていたが、それ以外は概ね9回・24回・100回券の3種類が用意され、回数券利用時の割引率は、最大約18%に収まるように設定されていた。この頃からも大型車向けの別納割引制度は存在していたが、今のように法人+所有台数+時間帯割引による個数契約では無かったため、基本的には運転手の自腹。そのため、回数券あるいはハイウェイカードの利用で高速代を浮かせるに貴重なアイテムとして尊重された。
ハイウェイカード同様、後に偽造多発やETC普及に伴う新体制の割引制度(大口・多頻度制度)の導入、時間帯割引の導入などで回数券方式の割引は役目を終え、一般有料道路と共に2005年の分割・民営化あたりで発売終了。払い戻しも2016年までに終了している。
なお、NEXCO各社からの回数券は完全に淘汰された……はずだが、関門トンネルだけは例外的に残されている。これはETC設備の導入が困難な造りになっているのが理由。ここに来れば、NEXCO各社の中で唯一、料金所事務所で昔ながらの回数券が売り捌かれている。
参考文献:HIGHWAY REPORT '97(日本道路公団・著)