そらマメさん道路局

道路関係と、一部の公共交通の話・郵便局めぐりなどがメイン。

山口県に残る「酷道」(前編) 国道490号

 山口県の国道は、元々が自動車交通に依存した地域性であることから、大半の場所で改良工事が完了している。そのうち、直轄国道として山口河川国道事務所が改良・バイパス新設工事を行っている物件ではなく、山口県が独自に整備している路線に目を充てると、今でもコンスタントに「酷道」が残されている路線がある。

 前編は国道490号を。

小郡萩道路の建設を見越した暫定国道

f:id:fuwafuwaame:20210212110202j:plain

国道490号笹目峠

 国道490号宇部市萩市の間を結ぶ、陰陽連絡路線。途中で美祢市を通過し、萩市との境界に差し掛かった所で酷道区間がスタートする。

 序盤こそそれなりに道幅が広いものの、笹目峠萩市美祢市境界)の手前から急激に道幅が狭くなり、萩市の木目地区まで離合困難な道路が延々と続く。そのため、山口県が主要道・萩秋芳線経由で迂回することを強く勧める標識が設置されており、酷道ファンのみならず、多くのドライバーでもネタにされるほどの曰く付き。

f:id:fuwafuwaame:20210212110539j:plain

主要道経由で迂回することを示す標識。山口県の自虐ネタ。

 美祢市萩市酷道区間は、並行して自動車専用道路の小郡萩道路が建設されており、写真には無いものの、酷道区間の手前では開通へ向けた橋脚の設置が進行していた。つまり、元から存在する主要地方道を国道に昇格させた際、併せて地域高規格道路の指定を受けたことから、暫定的に「並行する国道」として設定したモノに過ぎない。小郡萩道路が絵堂IC~明木ICまで延伸(明木IC~E9山陰道・萩ICまでは萩道路の線形改良工事を実施)した際に、この区間は国道指定から解除される見通しである。降格後の路線は、既に萩秋芳線が別枠であることから、山口県から美祢市萩市に管理権が譲渡されるものとみている。

カーナビの表記

 「山口国体が開催されるから、カーナビを使うと国道490号の方が若干早く、酷道に入り込むから、カーナビ製造会社に申し入れを行った」説があるモノの、実際に私のカーナビで確認したところ、狭隘区間がスタートする寸前で国道490号表記が削除されていた(道路自体は続いている)。

f:id:fuwafuwaame:20210212111659j:plain

峠の寸前で国道が消滅。やはり、山口県側の申し入れがあったのか?

 一方、カーナビ代わりとして使えるGoogleマップは、ちゃんと国道490号の存在を示している。人力で情報を加筆修正していく自動車搭載型のカーナビと違い、GoogleマップGPS+アプリ利用者の位置情報+利用者の道路利用に対する傾向・頻度をベースに1分単位で最短ルートを計算するため、「国道の存在を消せば迷わない」という山口県の思惑とは無関係に案内する。そのため、仮に酷道区間の利用者が一定数いれば、問答無用でこちらに誘導されると考えたがいい。実際には萩秋芳線経由の方に強制誘導するけど。

f:id:fuwafuwaame:20210212112317p:plain

Googleマップは嘘をつかない。

小郡萩道路の明木接続は、2025年度以降か?

 2014年の事業化から7年近くが経過し、何となく自動車専用道路っぽい形になりつつある。明木ICまで繋がれば、後は現道活用となる国道262号+萩道路の組み合わせで、あっという間に萩市中心部に到達できる。体感時間としては、E2A中国道・美祢ICから向かっていた時と比較しても、約1時間近くも違うのでは?

 今の酷道に引導を明け渡す日は、確実に近づいている。自専道(高規格道路)と引き換えに酷道が消滅するのは、どことなく諸行無常の響きがあるだろう。

 

 後半に続きます。

萩・石見空港

 島根県には出雲市にある出雲空港と、益田市にある萩・石見空港、それに離島の隠岐の島にある隠岐空港と、合計3つの空港を抱えている。そのうちの一つ、萩・石見空港に来てみた。

f:id:fuwafuwaame:20210209132530j:plain

石見空港萩・石見空港 / IWJ)

 島根県は真横に大変長い土地柄である一方で、産業・商業面では東側の出雲地方に偏っており、出雲空港が事実上の島根県を代表する空港として機能しているのが実情である。このため、交通網で大きなハンディキャップを受ける西側の石見地方にも空港を誘致するべきという声が高まり、1987年に建設が始まり、1993年に開港した。

 元々人口が少ない石見地方と山口県北部向けの空港であるため、運行本数は極端に少なく、自治体が通勤・旅行客に対して補助を出すなどの迷走が続いている曰く付き。開業当初は大阪との往復や国際線も存在したらしいが、現在は東京・羽田空港へ向かう空路が往復2本運行するのみに留まる。萩・石見空港を担当する航空会社は日本航空ANAの1社のみ。

 萩・石見空港は3階建て。1F部分に手荷物預かりコーナーと搭乗手続きカウンター・レンタカーがあり、2F部分に検査所と搭乗待合室・売店・レストラン、3Fに展望台が設けられている。出雲空港のソレに比べれば小規模であり、この地域に見合った造りをしているなと思った。

f:id:fuwafuwaame:20210209133446j:plain

出発カウンターも含めた1Fフロアを眺める。

f:id:fuwafuwaame:20210209133956j:plain

搭乗は2Fで。

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)の影響で空輸がストップしている状態が続いており、ココも例外なく全便欠航となっていた。島根県の特産品を扱う売店もクローズドになる一方で、レストランは普通に営業していた。飛行機が飛ばないため、利用客は空港関係者か、隣接する万葉公園からの流れじゃないかと見てる。

f:id:fuwafuwaame:20210209134320j:plain

島根の特産品を買うに重要な売店も、COVID19相手にクローズド。

f:id:fuwafuwaame:20210209134353j:plain

しまねっこ)コロニャめぇー!

f:id:fuwafuwaame:20210209134435j:plain

エプロン見ながらランチタイム

 3Fの展望台、飛行機が1台すら着陸していないため、シーンとした空気が流れる。運行本数が1日2往復という条件に加え、COVID19も重なって余計に。一方で滑走路は空港らしく結構な距離があり、万一の事態には代替拠点としての活用も出来るのではとも見て取れた。

f:id:fuwafuwaame:20210209134653j:plain

滑走路は意外と長い。

f:id:fuwafuwaame:20210209134719j:plain

管制塔はターミナルビルの隣にあるにゃん

 代替空港としての活用にも一定の期待があるかもしれないが、それ以前に山陰本線の電化・複線化で出雲・松江方面へのアクセスを強化する方が県民の利便性向上に役立ったのではないかとも思う

 ただ、ソレは「それなり近ければ」の話であり、益田市松江市までは直線距離で約100km近くも離れているため、JRの高速化+出雲空港乗り継ぎ対策では時短効果は微妙な所だろう。「無いよりマシ」だが、かといってあったらあったで誰も使わないという二重苦も。難しいにゃん……

 JRの高速化どころか、山陰本線自体が減便になる一方で、それに置き換わるE9山陰道の建設に関しては、2020年代前半までには松江・出雲~浜田・益田の一本化を目指す方向になっている。空路としての活用強化に結び付くか見所だろう。

天草空港(飛行場)

 天草下島には、熊本県が管理する天草空港(飛行場)が設けられている。

f:id:fuwafuwaame:20210202113517j:plain

天草空港(AXJ)

 天草上島・下島は道路整備が順調に進む一方で、陸路が主体となることで緊急時の輸送が難しくなる問題も抱えている。そのため、1982年に交通改善を主な理由とし、当時の熊本県が提唱したことが飛行場建設の出発点となっている。2000年より運用開始。

 名前こそ「天草空港」だが、空港整備法における扱いは「その他の飛行場」に分類されており、いわばミニ空港。面積も普通の空港に比べてかなり狭く、地元の天草エアライン会社が所有するプロペラ機で、福岡空港・熊本空港(+伊丹空港行き接続)との間を行き来する。

f:id:fuwafuwaame:20210202114724j:plain

ターミナルビル内の待合所

 ミニ空港であり、天草下島・上島からの利用客も限定的であることから、ターミナルビルもコンパクトに設計されている。天草市上天草市苓北町の観光案内所と、お土産コーナーがそれぞれ設けられているものの、売店に関しては発着の数時間前にならないと開かないようだ(普段は閉まっている)。

f:id:fuwafuwaame:20210202115328j:plain

AMXの受付カウンターと保安検査所が一体化。

 待合所に天草エアラインの受付カウンターがあり、そこで搭乗手続きと保安検査を行う。安全上のチェックが完了した後は、出発ゲートを進んで滑走路まで歩き、そこからプロペラ機に搭乗する。

 天草エアライン(AMX)の運航は、天草⇔福岡空港が1日3往復、天草空港阿蘇くまもと空港が1日1往復と、上島・下島の状況に見合った本数になっている。また、AMXは日本航空コードシェアを行っており、天草空港阿蘇くまもと空港+伊丹空港接続便に限り、JALが応援にあたるようだ。

 訪問時は物凄いブランクがあり、次に出発する便が15時45分発の福岡空港行きとなっていたため、プロペラ機すら見ることが出来ず、断念。取りあえず滑走路だけでも見て退散した。冷やかしばい……

f:id:fuwafuwaame:20210202120922j:plain

展望台から滑走路を眺める。そんなに広くない。

 熊本空港と主要道・本渡五和線とを結ぶ熊本県道334号天草空港線がある。深夜時間帯は飛行しないため、当該時間はゲートが閉鎖される。普通の空港と違い、天草空港沿いにはレンタカー屋が全くない。自動車で天草を巡る場合は、一旦、レンタカーで本渡地区まで向かい、市街地にあるレンタカー屋で手続きを行ってから散策する形になる。

 ……なお、路線番号が色々とアレだが、阪神タイガースには何の関係も無いことだけは言える。

f:id:fuwafuwaame:20210202121530j:plain

天草空港線。
な 阪 関 無w

 九州島には、果たして「334」「264」と刻まれた県道番号があるのか、気になる(空港の話とズレてしまった)。

熊本県の主要地方道めぐり(2021年1月末現在)

 福岡県の主要道がもうそろそろ全部コンプリしてしまうため、他県にもこの企画を拡大。比較的、道路管理が徹底している熊本県内の主要地方道の様子を、一枚絵のように写真で納めていこうかと思っている。

 福岡県同様、飽きないようにビンゴ形式で埋めていくものの、福岡県と違って路線番号が完全にランダムになっているため、そう簡単にビンゴにはならない。こうすることで、少しはワクワク感も違ってくると思う。

f:id:fuwafuwaame:20210201195439p:plain

熊本県の主要道ビンゴ。福岡と違い、完全に番号がランダムになって、達成がより難しくなった。

 天草の上島・下島ではいくつかの路線を撮影したものの、この2つの島は道の駅開業などでまた行く機会があると思うので、その時に残る天草の主要道を抑えたいところ。

f:id:fuwafuwaame:20210201195727j:plain

本渡五和線。天草空港を経由して、本渡とイルカセンターとの間を行き来するに便利。

f:id:fuwafuwaame:20210201195900j:plain

本渡苓北線。やはりコレもショートカット道路だが、正直、道が狭い。

 果たしてコンプリ出来る日は来るのだろうか。ま、ゆっくりと抑えていきましょう。

国道266号に残る「ミニ酷道」

 熊本県天草市牛深と熊本市中央区を結ぶ、天草下島・上島の国道266号は、段階的に改良工事が行われ、現在は殆どの場所で快速移動が可能になっている。未改良区間天草市倉岳町棚底~上天草市龍ヶ岳町大道の部分に留まっており、この部分は国道指定が行われて半世紀近くが経過した現在でも、ヒッソリと酷道が残されている。

f:id:fuwafuwaame:20210201170613j:plain

倉岳町尾串地区の様子。一応、ココも1日1本だけ九州産交バスが通るらしい。

f:id:fuwafuwaame:20210201170810j:plain

リアス式海岸に沿って、険しい狭隘道路が続く。

f:id:fuwafuwaame:20210201170846j:plain

バイパス道路の建設が進行中であり、そう遠くない未来に「酷道」は解消される。

 狭隘道路でリアス状になっている上島地域をなぞるように通過していることから、僻地にありがちな酷道そのものである。ただ、多くの場所で改良工事(現道拡幅・バイパス新設)が進んでおり、この区間酷道解消に王手が掛かっている(具体的な完成日時などは不明)。

 前述の通り、酷道以外の区間では改良工事が完了しており、八代海沿いの島々を眺めつつ、快速化された海岸道路を楽しめるドライブコースになっている。

f:id:fuwafuwaame:20210201171513j:plain

海岸沿いをスイスイ

国道266号は、昔から倉岳・姫戸経由ではなかった

 国道266号の地図を見たり、実際に上島・下島を走ると分かるが、2つの島のメインルートは国道324号(島原湾沿い)を通っており、逆に番号が若い(≒国道指定が古い)はずの国道266号は、なぜか人口が少ない倉岳・姫戸地区を通るルートになっている。

 1963年に国道266号が誕生した当時は、純粋に下島・上島を縦断するルートになっており、1966年の天草五橋の開通を見越して、牛深~本渡~松島・大矢野を経由するように定められた。

f:id:fuwafuwaame:20210201182035p:plain

1963年に認定された当初の国道266号天草上島のルートが異なる。

 その後、天草上島に狭隘区間が残る倉岳・姫戸方面を改良することや、1970年に追加された国道324号との重複を回避することなどを理由に、現在の八代海沿いを通るルートに変更。当時存在していた主要地方道を国道に鞍替えしている。

f:id:fuwafuwaame:20210201182400p:plain

改良工事を行うことなどを理由に、倉岳・姫戸経由に進路を変更。

 1993年の「平成国道」の際には、当時の終点だった旧・三角町の天門橋入口交差点を通過点とし、熊本市中央区)にまで延長。八代海沿いを通りつつ、松橋から熊本までは嘉島町を経由・迂回する形で延伸。これにより、見た目の上では熊本都心と天草諸島を結ぶ国道となったものの、本来の天草上島・下島縦断型の路線だけでは無くなったため、どことなく「後発組」のような印象になっている。

f:id:fuwafuwaame:20210201183119p:plain

くまモン先生)ばっ!がーば長くなったばい。

 シンプルに天草上島・下島を結ぶ国道だったはずが、いつの間にか解釈が変わって熊本都心~天草を行き来する国道に変貌してしまったのか。やはり転機は「天草五橋開通」にある

 天草五橋が開通するまでの天草は完全な離島であり、船舶を使うしか手段が無かった。島民の不満は高まる一方で、何としてでも九州本土まで陸続きで繋がって欲しいという願いを叶えるため、請願を続けた結果、当時の日本道路公団が整備代行する形で天草五橋が完成した。合計5つの橋をさほど景観を崩すことなく通過出来るようになったことから、島民の熊本都心部への行き来だけに限らず、逆に九州本島から天草へ行きやすくなり、観光・物流・産業拠点の強化が発展していった。

 結果、天草の経済発展は進む一方で島原湾沿いに偏るようになり、万一、その部分が通行不能に達した時に、確実に迂回できる道路の整備も必要と勘案したのではないかとみている。そのためには、島原湾沿いを通るルートとは別に、八代海沿いを通る主要道の強化が必要と判断し、国道266号の位置を有明海沿いに変更したためと考える。

 国道に鞍替えすれば、国土交通省(旧・建設省)が建設に掛かる費用の1/2を負担してくれる。となれば、当時の熊本県としても、既に改良が進んだ島原湾沿いのコースは部分改良や修復工事の方に重点を置きつつ、迂回路や道路整備が不完全な八代海沿いの方にリソースを割り当てることで、段階的に「酷道」を解消していくことが出来ると目論んだと考えられる

本来、酷道は楽しむモノじゃない。解消しないといけないもの

 ↑のタイトルを言うと「何だかなー」という結果になるものの、本来、「酷道」というレッテルを貼られた地区というのは、悪条件のもとでも暮らしていかなければならない住民に対する、行政サービスの向上が根底にある。国道らしくないムッチャ狭い道・悪条件過ぎる道路に対して「スゲー!」と叫ぶのは簡単でも、現実的にその地で快速化を図ってまで工事を行うべきかは、地域によって左右される。

 今回の場合は、八代海沿いの住人にすれば改良化を進め、熊本・本渡方面へのアクセスを改善することで生活向上を図れる確実性があることと、島原湾沿いに偏っている道路交通を分散化・緊急時の迂回路確保を行う必要性があることから、このルートが策定されたのは納得出来る。

 「酷道」の汚名を返上するためには、ただ楽しむだけでなく、酷道呼ばわりされる地域の諸問題を少し勘案しながら接していく必要があるんじゃないかなー、なんて思いながら家路についた。

f:id:fuwafuwaame:20210201185026j:plain

コレが見れただけでも満足。

 実際の経緯など、具体的に調べられる機会があれば、熊本県立図書館などで資料を探った方が良いかもしれない(て言いつつ、実際にはなかなか行かんのよね)。

酷道大百科 (ブルーガイド・グラフィック)
 

道の駅不知火、破産していた件

 昨日は天草地方の道の駅ドライブを楽しんできた。帰り道に「道の駅DB」の写真を撮り忘れた道の駅不知火(宇城市不知火町)に立ちよってみた。

 道の駅に立ちよってみたものの、購買施設がクローズドになっていた。「まーたコロナか、壊れるなぁ」と思ったものの、普通、週末は稼ぎ時であるだけに、日曜日に道の駅を閉鎖するのはおかしい。それに一部のツーリング客がジロジロと店の前に来ているため、どうも様子が変だなと思って店の前に来てみた。

 すると、単にシャッターで閉鎖されているだけでなく、弁護人による破産手続き開始の告知の貼り紙が貼ってあった。つまり、道の駅の指定管理者(不知火温泉)が倒産したのである

f:id:fuwafuwaame:20210201111711j:plain

破産手続きに関する告知(2021年1月31日現在)

 以前の指定管理者による破産手続き開始日は1月22日となっており、つい最近のことである。このままどうなるのかと思ったが、宇城市役所によれば指定管理者を変更した上で、2021年2月5日から営業再開に踏み切るとのこと。

www.city.uki.kumamoto.jp

f:id:fuwafuwaame:20210201112103j:plain

アグリパーク豊野に引き継ぐ形で、リニューアル(宇城市役所HPより引用)

 後で知ったが、道の駅そよ風パーク(山都町も、2020年5月に旧・指定管理者が倒産した模様で、購買施設のみ別の指定管理者に引き継がせた上で2020年10月31日から営業を再開している。COVID19の影響が道の駅という公共施設にまで波及しているとは。

延岡南ICの料金所

www.w-nexco.co.jp 東九州道(延岡道路・延岡南道路)において、貨物車を中心に延岡南ICで途中退出を行い、生活道路へ迂回するフラチな事態が相次いだことから、延岡市と宮崎県の要請で物理的に料金所を設置。2020年3月30日から稼働を始めている。

f:id:fuwafuwaame:20210129125745j:plain

延岡南IC料金所

 今回はETCを利用して宮崎方面から退出したが、そちらからの出場に関しては料金収受装置が設置されておらず、減速しながらそのまま素通りすることが出来た。逆に、延岡南IC→延岡JCTへ向かう場合はETCレーンを利用したモノの、通行料は発生しない(ETC車載器から「料金は0円です」とアナウンスされるのはシュール)

 フラチな貨物車への対策から、延岡南ICでの出入りで通行料金が発生するのは中型車以上と定められている。実際、料金所が追加された後は、軽自動車ユーザーである私も理解はしていたが、延岡南ICで退出した際に料金所がドドンと出てきて、通行料金が発生するのではないかという不安感があった。個人差はあるものの、物理的抑制で途中退出をコントロールさせるという案は、意外と効果がありそうだ。

 物理的抑制を行わせる一方で、貨物車に対する通行料を門川IC以南の高速自動車国道(日向市・宮崎方面)の価格帯に引き下げる措置も施されているため、要はアメとムチ。また、延岡南ICで退出し、生活道路経由で延岡南IC⇔門川南SIC・日向ICを一定の所要時間で乗り継ごうとしても通行料が別に発生するように小細工されている。「逃げるな」ってことだろう。

f:id:fuwafuwaame:20210129130214p:plain

通行料を引き下げる代わりに、生活道路へ逃げさせない。アメとムチ。

f:id:fuwafuwaame:20210129130944p:plain

振り逃げさせないよう、乗り継ぎ時間もコントロールさせている。

 一方で、今回の通行料対策には、なぜか延岡IC・北川ICは対象から外れている。この前の宮崎ドライブの際は、目立った大型車の利用は見られなかったモノの、その気になれば延岡ICで退出した後で、一般道路に逃げ込むという荒技を繰り出すことも、無くは無い。まあ、北川ICは国道10号と直通している反面、延岡ICは市街地から結構離れてアクセス面で不利が生じているため、地元客や貨物車は通過してしまうのだろう。

 ココでの実験結果に関して、延岡市や宮崎県・NEXCO西日本からは抑止力が上がったかどうかの結果報告は出されていない。一方で、料金所も必要に応じて収受装置を追加できるような構造にはなっていることから、北川IC~日向ICの車線拡幅費用の捻出などを理由に、有料化に踏み切るのではないかと疑って見てしまった。この辺は抑止力も含め、行政上の説明が求められる。